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去年、まだ50になったばかりの友人が亡くなり葬儀に出た。その際、友人の奥さんのが恨みがましく、医師の無能力を嘆じていたものだった。
友人は元々B型肝炎で、肝臓付近に痛みが生ずるようになり、地方の公立病院でMRIの検査を受けた。その結果、脂肪肝ということでそれなりの施薬を受けた。しかし、痛みは治まらず、再度病院を訪ねたが、結果は同じく脂肪肝であった。
MRIというのは、磁気を照射して病気の部位を発見する優れもので、CTスキャンなどよりはるかに精密に人体内部の疾患等を発見する能力を持つ、高度な医療機器である。したがって、どの病院でも導入できるわけではない。
友人が検査を受けた病院も地方ではかなり大きな病院であったので、高額なMRIを導入していた。発明者はノーベル医学賞まで受賞した最先端の医療機器の恩恵にあずかれる。これは幸福なことと言わなければならないが、ある事情から彼にとっては不幸の始まりとなってしまった。
痛みがいっこうに引かないため、再度彼はその病院を訪れ、MRIのお世話になった。そして、結果は同じく「脂肪肝」であった。初診からすでに1年を越えようとしていたので、意を決して、東京の病院に見てもらうことにした。
そして、彼の奥さんに告げられた言葉は悲劇的なもので、肝臓の末期癌、余命3ヶ月ということであった。再三受けた世界最高の医療機器、MRIの判定は誤りだったということである。
彼は半年後に亡くなった。彼の奥さんは誤診を繰り返し、夫を死に至らしめた地方病院のレベルの低さを恨んだ。どうやら、そこの医師はせっかくMRIを導入していながら、15センチにも成長していた肝臓癌のしこりを発見する能力もなかったというわけである。
このことだけで、地方病院の医師のレベルの低さを論難するのは酷だろうと思う。しかし、最初の検診で癌のカゲを発見することは、機材の能力からして十分可能であったはずだ。それを見落とし続けたのはごく単純に、医師が写真のカゲを読み取る能力が無かったという理由に尽きる。ヤブ医者の前には世界最先端の医療機器も猫に小判だったというわけである。
誤診を繰り返し、救えるはずの命を奪った病院を医療過誤で訴えることも十分可能であったが、彼の奥さんはそれをせず、実家へ帰っていった。
この話から、地方病院をレベルが低いと決めつけるような安易な一般論を導くつもりは無い。しかし、病院での検査の結果に納得できないものを感じたら、すぐに病院を替えるか、出来れば東京の有名病院の門を叩くようにはお勧めしたいと思う。命以上の価値あるものは、この世にそれほど有るわけではない。
最先端の医療機器といえども、決して信頼してはならない。自分の体は自分で守る他はないのだ。彼の犠牲をムダにしないためにも、この場で敢えて公言しておきたい。
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